あせらず行こう

1０年以上前、移住して間もない私は
この通りが大好きだった。

今ほど沢山若者向けのお店も無く
入口には怪しい廃墟ビルがあり
落書きやビラなどされたい放題だった。

古い民家が幾つもあり
住人が居るのかいないのか

でもその雰囲気が大好きで
昼夜問わずよく散策していた。

そして今夜
ものすごく強烈なフラッシュバック。
私が人気の無くなった夜の浮島通りを一人フラフラと歩くのは
決まって呑んだ後だった。
当時桜坂が好きで週に2回くらいは通っていた。
若い女の子が一人で来るのが珍しいと
あるママはとても可愛がってくれていた。
私はそれに甘えるのが心地よく
自分の職場の人間や友達を
最後の場所に、と連れて行った。
古いジュークボックスに100円を入れて
3曲選ぶのにも、心地よさを感じて・・・。

自分のボトルがなくなると
連れて行った仲間が新しく私の名前でボトルを入れてくれる。
次回、同じように貧乏な友達を連れて
安く済ませるために早い時間からそこへ行く。
会計の時「あんたたちお金ないんでしょ?今日は500円でいいから。」
と、今考えると涙が出そうな待遇で飲食いさせてもらって・・・

デートにも使わせてもらったり
いつかの誕生日には
そのお店で知人からサプライズの花束まで貰った。
ダンナさんを連れて行ったときもママは
「よんな～ちゃんを泣かしたら、ママが許さないから覚えておきなさい。」と言ってくれた。

そんなお店から当時のアパートがあった開南まで
私はよく歩いて帰ったのだ。
とても気分よく、ノンビリと時には千鳥足で
時には空も白んで・・・・
農連にもよく寄った。
私がヨッパで帰るときに、農連の人たちは信じられないエネルギーを発散して
動き回っていた。
バリバリ働いている時間に
酒カバーさせてフラフラと歩き時々野菜を買う小娘を
農連の方たちは一体どう思っていたのだろう。


今夜私は、紛れも無く素面だったが
とても懐かしい気持ちに包まれて
血のつながりも無い大人に
丸々っとなんの衒いも無く甘えることの出来たあの日を
久しぶりに嬉しく思った。

10年前と今とでは
この通りも桜坂も国際通りも
住む人も匂いも私も私を取り巻く環境も
ビックリするほど変わってしまった。
それがいけないとか嫌だとか、そういうことではなく
あの頃の私が、結構好きだったな～と
今改めて思うのでした。

10年後も同じように思えるように
今後悔しないように・・・・